特集 綾傘鉾

山鉾巡行中、最大級の長さを誇る綾傘鉾の歴史と特長

綾傘鉾は傘の形をした鉾です。現在33基ある祇園祭の山鉾で、この形の鉾は綾傘鉾と四条傘鉾だけです。傘鉾は剣鉾や鎌鉾などと共に、現在の山鉾の形態となる以前の古い形のもので、音楽と舞踊、棒振、といった芸と一揃いになっているのが特徴です。これは「風流(ふりゆう)」と呼ばれる作り物や芸能のもっとも基本的な形のものといわれています。

綾傘鉾は応仁の乱(1467~77年)以前の記録にも登場する大変歴史のある鉾です。1864年元治の大火で大部分が消失し、1879年から1884年まで原形の徒歩噺子として巡行に復活しましたが、1884年以降は完全に途絶えてしまいました。しかし、1979年に善長寺町の人たちによって、約100年ぶりに復興が成し遂げられ、以後、綾傘鉾は毎年山鉾巡行に参加するようになりました。また現在では山鉾巡行中、最大級の長さを誇る一列です。

綾傘鉾の歴史

剣鉾って?

剣鉾

粟田神社の剣鉾

剣鉾は神様のお渡りになる道筋を祓い清め、悪霊を鎮める祭具、祭鉾で京都独自の祭礼習俗で神輿渡御(みこしとぎょ)の先導を務め、祭礼では鉾鉾差しによる巡行が行われます。この剣鉾は現在祇園祭で巡行する鉾の原型といわれています。時代と共に祭礼が賑やかになり、鉾に様々な装飾をつけるようになっていったそうです。
現在では粟田神社の大祭などで当時の様子をうかがい知ることができます。また一乗寺八大神社の剣鉾差し、西院春日神社の剣鉾差し、嵯峨祭の剣鉾差し、梅ケ畑平岡八幡宮の剣鉾差しが京都市指定・登録無形民俗文化財に指定されています。

綾傘鉾

綾傘鉾

綾傘鉾には2基の鉾があります。1基には御神体とする木彫りの金鶏が、2基には松の木がそれぞれ頂きに飾られます。第1基は巡行の際の前側の鉾で、傘垂がりは善長寺町内に住んでおられた梶居藤治郎さまより寄贈された「飛天の図」。欄縁や金具は、1994年の建都千二百年記念として京都文化博物館で開催された祇園祭展の出展の際に新調されたものだそうです。祭りの期間中は善長寺内に展示されていて近くで見ることが出来ます。

第2基は第1基の後ろに巡行する鉾で松の木が頂きに飾られます。この鉾は巡行に復活した当初から使われている鉾で、傘垂がりは、人間国宝の染色家・森口華弘さん寄贈の「四季の花」で、現在は会所である大原神社内で会所飾りとして展示されています。ぜひ人間国宝・森口さんの作品を身近でご覧ください。

綾傘棒振り囃子

綾傘棒振り囃子

踊りは前段と後段に分かれており、前段は、棒振り、巡柱が動き回り疫神を愉しませ、悪鬼も呼び集めます。そして後段では定位置にとどまり、巡柱が太鼓の拍子が速めるのにあわせて棒振りは棒を早く回していき厄を払い飛ばし、太鼓は払い飛ばした厄を鎮めます。綾傘鉾棒振り囃子は、壬生六斎念仏保存会の方々によって演じられています。また宵山に後援会席で棒振りの実演が行われています。

棒振り

赤熊(しゃぐま)をかぶり白布で顔を覆い金と紺の鱗文様表着に白たすきを掛け、脛の上辺りで裾を括った橙色地の袴を着て、足袋の上から草鞋を履いた出で立ちです。棒は長さ150cmほどの紺と白の横縞模様で、両端に50cmほどの色とりどりな紐がついたものです。

巡柱

二人一組で黒熊(こぐま)をかぶっており、太鼓持ちは「べし見面」、太鼓打ちは「飛出面」をかけて棒振りと同じく白布で顔を覆います。金と紺の表着と白地の大口袴を着けて、足袋の上から草鞋を履いた出で立ちです。面の目玉は金色で、人間から人間ならざるものへの覚醒を意味するそうです。

稚児

綾傘鉾では保存会から選ばれた六人の稚児が巡行に参加します。現在では鉾の稚児の多くが人形となりましたが、綾傘鉾・長刀鉾の稚児は生き稚児であり、これが大きな特徴のひとつでもあります。 7月7日には綾傘鉾の稚児が町内役員と共に神事の無事を祈り八坂神社に参拝します。

会所飾り

大原神社が綾傘鉾の会所となっています。祇園祭の期間中現在は使われていない傘垂がりや、江戸末期に焼亡した“曳き鉾版綾傘鉾”の模型、巡行で使用する御面、明治期の祇園囃子の譜面など多数の貴重品が展示・公開されています。展示は前祭の宵山7月16日までです。

授与品

「粽(ちまき)」は厄除けを主な御利益としてしています。祇園祭の各山鉾の会所ではそれぞれ粽が販売されています。綾傘鉾の粽は大原神社にちなみ、“縁結び・縁故守り”という御利益があります。会所に立ち寄ってぜひお求めになってはいかがでしょうか。

また、粽の他にも御守りや、棒振り囃子の図が描かれた扇子など様々な授与品があります。 扇子に描かれた図は青岸渡寺霊宝館、宝殿天命協会などの天井画を制作された林屋拓蓊(はやしや・たくおう)氏によるものです。

宵山

綾傘棒地囃子 綾傘棒振り囃子

宵山では壬生六斎念仏保存会の方々によってお囃子が披露されます。地囃子は京都らしい、祇園祭らしいゆったりとした落ち着いたリズムのお囃子です。また、綾傘鉾独特の棒振り囃子では前段で観客に向かって蜘蛛の糸が投げられます。糸の先に付いた鉛の玉を3つ集めると幸福が訪れるとか。太鼓のリズムに合わせて棒振りが豪快に、かつ繊細に棒を回します。終盤お囃子のリズムが速くなり棒振りの棒を回す速度がどんどん速くなると大勢集まったギャラリーから感嘆の声があがります。必見です。(7/14~16)

2022年 祇園囃子・棒振り囃子の予定

14日(木)・15日(金)
祇園囃子 棒振り囃子
第一回 午後6時40分~ 午後7時00分~
第二回 午後7時40分~ 午後8時00分~
第三回 午後8時40分~ 午後9時00分~
第四回 午後9時40分~ 午後10時00分~
16日(土)
祇園囃子 棒振り囃子
第一回 午後6時10分~ 午後6時30分~
第二回 午後7時10分~ 午後7時30分~
第三回 午後8時10分~ 午後8時30分~

綾傘鉾の日和神楽

宵山の終盤、7月16日の午後9時ごろから「日和神楽」が行われます。巡行の無事と晴天を祈願してお囃子を持つ鉾町がお囃子を奏でながら四条御旅所まで参り、お囃子を奉納してお祓いを受ける行事です。綾傘鉾の囃子方は宮川町を練り歩き、歌舞練場の前では「棒振り囃子」を披露されます。

綾傘鉾後援会

綾傘鉾では後援会の会員を募集されています。入会されると、日本画家・林屋拓翁氏の扇子がもらえたり、祇園祭前祭山鉾巡行(7月17日)に、綾傘鉾のお供として、裃を着用して都大路をかっ歩できたり、3日間の宵山において、特設後援会席でゆっくりと祇園囃子や棒振り踊りを鑑賞できたりといった特典があります。
お申し込みは→こちら

周辺の山鉾

綾傘鉾の周辺は綾傘鉾以外にもみどころがいっぱい。
大型の鶏鉾や月鉾、船の形をした船鉾、すこし足をのばして縁結びで有名な保昌山などがおすすめです。

※このページの内容は掲載時点での情報です。変更となる可能性がありますので、お出掛けの際は事前にご確認ください。

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