千總が伝える地域の記憶

千總が伝える地域の記憶

2023 12 21

【シリーズ趣旨】
創業以来460余年、現在の三条室町で暖簾を掲げてきた千總には、この土地や建物、行事など町に関係する資料がのこされています。本シリーズでは、そうした町の歴史の一端を映し出す資料を通して、千總と地域のいとなみへの理解を深めます。


【本会の趣旨】
御倉町(みくらちょう)は、京都市中京区に位置する地域ですが、平安時代は皇族や公家の邸宅として、鎌倉時代以降は一貫して商業都市として栄えました。御倉町が祇園会においては少将井神輿を舁く駕輿丁(かよちょう)たちを出す轅町(ながえちょう)としての役割をもち、また「やうゆう山」を出したとも伝えられているのも、御倉町が経済的に卓越した都市であったことを物語っています。このような京都でも屈指の町勢を誇る御倉町に拠点を置き活動していたのが、千總の前身とも言える千切屋です。法衣商としての側面が有名ですが、それ以外にも土倉として、公家の家来として、朝廷の役人としての姿をもち、多様な活動が知られます。今回の講演会では、千切屋成立当初から江戸時代までを射程にいれ、千切屋の多様な活動、また御倉町との関わりについて、皆さんと考えたいと思います。


【見どころ】
■室町時代から江戸時代へ、京都の町と人の関係に迫る
1555年から三条室町を拠点とした千切屋、そのうちの千切屋總左衛門家(千總)に蓄積された古文書にフォーカスします。古文書を通して室町時代より築かれてきた千切屋と三条御倉町地域の関係をひも解きながら、京都の地で培われた町と人との豊かな関係をたどります。
講師には、永らく中世以降の京都の地域共同体について研究され、2020年に「町のちから 三条御倉町文書の世界」展を企画された西山剛氏(京都文化博物館)をお迎えします。

■新発見の室町時代の古文書を初公開
近年の調査で新たに発見された、室町時代の古文書を初公開します。資料は三条通の家を売却するための証書で、京都市内としては最古級と考えられます。講演会ではこれらの資料を読み解くとともに、会場に実際の古文書を展示します。その他にも、轅町の活動を示す御倉町に関する文書をご覧いただけます。

【講師】
■西山剛
京都文化博物館 学芸員。文学博士。ご専門は日本の都市社会史。永らく中世の日本や京都の身分制度に関する研究を重ねられている。これまでに、特別展「織田有楽斎」(2023年、京都文化博物館・サントリー美術館)や企画展「町のちから 三条御倉町文書の世界」(2020年、京都文化博物館)など、多くの展覧会を担当。近年の著作には「北野祭礼神輿と禁裏駕輿丁」(『世界人権問題研究センター研究紀要』第26号、2021年)、「近世北野社の一視角 「洛外名所図屏風 北川家本」の紹介」(『東京大学史料編纂所附属画像史料解析センター通信』第88号、2020年)、「中世の駕輿丁と行幸」(『民衆史研究』第99号、2020年)などがある。

【会場の主な展示資料】
会場には、新発見の古文書の他、講演に関する絵画や歴史資料を展示いたします。

■「祇園社就御修覆御倉町御寄附銀勘定帳」 文政2(1819)年
祇園社(現八坂神社)の修理事業に際して、文政2年から文政4年までに御倉町が取りまとめた寄附帳簿。寄附者には、三文字町や甲屋町などの町や個人の名が多数記されています。文政期の祇園社本殿の修理に関するものと思われ、本資料からは祇園社を支える轅町としての御倉町の姿が垣間見えます。

■「祇園御社古図」 文政3(1820)年
京都の祇園社をあらわした絵図。画面上方を北として、中心に本殿を配して、祇園社の全景が描かれています。本作は文政3年に浮世絵師の速水春民(?~1867)による模写で、原本は重要文化財〈紙本著色祇園社古図〉(八坂神社蔵)です。千總は本作品を明治6年(1873)に御倉町から譲り受けており、両者の繋がりを示す資料と言えます。

■「永禄四年五月二〇日付沽券状」永禄4(1561)年、
「元亀元年十一月付沽券状」亀元(1570)年
近年の調査で新たに発見された室町時代の古文書。沽券状(こけんじょう)とは家屋敷の売買の際に交わす契約書の一種です。永禄4年付けの沽券状は井川新右衛門尉が三条通の家をお理阿へ、元亀元年のものは伊藤与三左衛門尉付吉次他2名が三条衣棚町南の家を某氏子息熊千代へ、それぞれ売渡す旨が記されています。現在の千總には、「大切成書物」のひとつとして伝わっており、入手背景や役割は定かではないものの、三条御倉町地域と千切屋との繋がりを示す重要な文書と考えられます。

日程・時間
2023 12 21
14:00~15:40 (開場13:30)
料金
〈ご来場〉 定員:30名 / 参加費:[一般] 3000円、[学生] 2500円
〈オンライン参加〉 定員:100名 / 参加費:[一律] 2000円

【応募方法】
千總文化研究所公式ウェブサイト内イベントページにて11月3日より開始
イベントページ:<a href=\"https://icac.or.jp/event/\" target=\"_blank\">https://icac.or.jp/event/</a>

配信方法(予定):オンライン参加に申し込んだ方を対象にリアルタイム配信の他、3週間後(予定)に期間限定で公開いたします。

千總文化研究所公式ウェブサイトの会員ページにて動画を公開いたします。
※閲覧には会員登録が必要です
会場・開催場所
株式会社千總本社ビル5階ホール
公式webサイト・ページ
https://icac.or.jp/public/7099/
お問い合わせ
千總文化研究所イベント事務局 info@icac.or.jp
または075-211-2531(平日:午前10時~午後5時)
交通アクセス
京都市中京区御倉町80

※当サイトに掲載の内容はすべて掲載時点での情報です。変更となる可能性がありますので、お出掛けの際は念の為事前にご確認ください。

京都貴船 川床料理 べにや