特別拝観 圓徳院・織部の武家茶 ~平成26年12月14日(日)
長屋門を入ると受付が。石塀小路を駆け上がってきて息をつく私に、係の方が優しい笑顔を向けてくださいました。
まっすぐ石畳を歩き、唐門を入るとすぐ、秀吉好みの手水鉢です。水面に葉が映りこんで揺れています。
お庭を掃く箒の音とあいまって、観光地の賑わいから徐々に心が落ち着いていくのが感じられます。
巨岩がどっしり腰を下ろす 北庭
伏見城の池泉回遊式庭園を移築したお庭です。ん?石の深さのわりに何か気になる・・・そう、水がないのです。移築後は水を入れず、これを「枯池泉座視式」と呼ぶのだそうです。枯山水のシンプルさとも異なる、大らかで豪快な印象。
ごつごつした岩は、手前から鶴・亀・蓬莱山に見立てられ、傾斜のある正三角形に並んでいます。紅葉と青空を感じて、いよいよこの時期限定の武家点前をいただきます!
「私は秀吉です」
もちろん秀吉ではありません、拝観客です。でも、ここでは「秀吉」になれます!
高く上品に響く鐘の音を撞くと、お茶席への案内をいただけます。
織部筆のお軸がかかった床の間を拝見し、しばらくすると、お盆に載った天目茶碗が運ばれてきます。
お盆を受け取って一礼。毛氈にかかるようにお盆を置き、織部まんじゅうをいただきます。小ぶりであっさりした味わい。
とにかく目を引くのは、天目台と裏に伏せて乗せてある扇子です。
この扇子、記念として持ち帰ることができるのですが、なんと表には・・・!
豊臣家と天皇家のつながりを示す印が描かれてありますのでぜひ。
ちなみに男性用の茶扇子として、流派にかかわらず使えるものだそうです。
係の方に教えていただきながら「武家流」を味わいます。扇子を取ると、光るような緑色のお茶が。天目台に両手の小指をかけ、台ごとあおるようにいただきます。
そのとき。
「秀吉になったつもりで、捧げられたお茶を堂々とお召し上がりください。」
武家手前はやはり武士のもの。先ほどの扇子は、実は「点前に粗相をしたときは、これに辞世を詠んで果てます」という、点てる側の相当な覚悟を表しているのだそうです。
ですから、その思いを受け止めるように、頂く側はゆったりと堂々と。作法の動きの大きさにも、それが現れているかのようです。
黒田家が朝鮮出兵の折に持ち帰ったという高取焼で作られた、茶色のお茶碗には「圓徳院」の焼印が。戦国に思いを馳せることができます。
その後は、特別に茶室を見せていただけます。(撮影禁止とはいえ、写真がないのが本当に残念です。)
武家流独特の、お盆に載った茶道具。ほんのりとオレンジがかった暖かな光。小さく、でも凜と佇む椿。そしてお軸は、まるで相対するように豪快に。
すべて一見の価値ありです!すがすがしい冬の風に吹かれて、気持ちが引きしまるのを感じました。お茶席は普段もありますが、武家流はこの時期限定です。
期間:~平成26年12月14日(日)
ただし12日・13日は拝観休止
時間:午前10時~午後22時(受付は~午後9時30分)
※武家点前は午後10時~午後16時受付終了
★武家点前は拝観料と別途1500円(記念扇子つき)
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