緋毛氈のあるお庭
京都の庭園は、一つひとつ歴史や趣があり、それぞれに見どころがある。四季折々の美しさに驚かされることもある。ここでは、緋毛氈のあるお庭のいくつかをみてみたい。
1.宝泉院
京都の代表的な額縁庭園。あまりにも知られてしまったため、一年中、拝観の人が絶えることがない。南面の樹齢700年とも言われる五葉松、西面のもみじの奥に見える竹林、どちらもすばらしい。紅葉と雪の時が特別。最近は折々にライトアップも行われる。
2.圓光寺
十牛之庭一面に植えられたもみじが紅葉を迎える時が、一番のハイライトで、ものすごく多くの人が訪れる。新緑の時期は、運がよければ一面の緑を独り占めできる。雪のお庭もいい。かわいいお地蔵さんも人気が高い。奥の竹林もぜひ歩いてみたい。
3.高桐院
山門をくぐってからの、まっすぐ伸びた参道が美しい。きっと、誰がいつ写真を撮ってもすばらしい写真になると思う。本堂前の楓の庭は、一面の苔庭に数本のもみじと石灯籠が立っている。そのシンプルさに、心をうばわれる。市内にあるのに、とても静かで時の立つのも忘れてしまう。散り紅葉の時がお庭も参道も美しい。新緑の時も雪の時も、とてもいい。今年(平成29年)6月7日から平成31年3月31日まで大屋根瓦葺き葺き替え
工事のため一般拝観が中止になる予定。
4.等持院
夢窓疎石の作庭と伝えられるお庭に面してきれいに緋毛氈がひかれている。本寺は、かつて別院等持寺で、本寺等持寺が消失したため本寺になり、その後等持院と呼ばれるようになった。等持寺は、3文字それぞれに寺の字が入り、尊氏の強い思いがしのばれる。かつては衣笠山を借景としていたが、高い建物で遮られたため、現在は奥に高木が植えられている。
5.曼殊院
門跡寺院として特別の格式を誇る。書院南面の枯山水庭園に面して回廊が続き、そこに緋毛氈がひいてある。遠州好みの枯山水庭園はみごと。特に、真っ赤なキリシマツツジが咲くころや雪の降った時はすばらしい。勅使門あたりのもみじの紅葉もすばらしい。
6.雲龍院
泉涌寺別院だが、別格本山という高い格式を持っている。悟りの窓、しきしの窓、走り大黒天など院内は見どころがたくさんあるが、写経道場としてもよく知られている。庭園前の緋毛氈が美しく、いろんなところでお抹茶がいただける。
7.正伝寺
本堂前の枯山水の庭園は、小堀遠州の作庭と伝えられている。白壁ごしに遠く比叡山を借景としており、晴れた日に、くっきりと見える比叡山は、とても趣がある。庭も、白砂とサツキの刈り込みだけで作られており、そのシンプルさが多くの思いを浮かばせる。
8.随心院
小野小町ゆかりのお寺。梅園でもよく知られている。本堂前の庭園は、苔がしきつめられ、奥にもみじなどの樹木が植えられている。紅葉の季節に拝観客が多いが、その建物や庭園の美しさとしっとりとした落ち着きから、拝観の人が絶えることがない。
9.桂春院
妙心寺の塔頭のひとつで、退蔵院、大心院とともに通年公開されている。茶室と最近は本堂前にも緋毛氈がひかれている。茶室では、お抹茶がいただける。南側のお庭には、キリシマツツジやもみじなどが植えられ、新緑や紅葉が美しい。お庭にも降りることができ、意外に奥が広い。
10.大法院
妙心寺の塔頭。通年拝観されておらず、春と秋だけに特別拝観されるだけだが、とても印象に残るお庭である。新緑の時は、意外に人が少ない時間がある。みどりがとてもきれい。紅葉の時期は、とても多くの人が訪れる。苔のみどりと赤や黄の紅葉が、すばらしい。
※当サイトに掲載の内容はすべて掲載時点での情報です。変更となる可能性がありますので、お出掛けの際は念の為事前にご確認ください。