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泉涌寺から東福寺へ ~近道発掘の街歩き~
東福寺駅下車 泉涌寺へ
京阪「東福寺」駅下車。駅名のとおり「東福寺」へ向かう人ごみと別れて、あえて泉涌寺方面へ。
住宅街からこの門を通り、さらに坂道を上がって行きます。
暑い日差しも、鬱蒼と続く木立が和らげてくれます。
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今熊野観音寺 頭痛封じの祈願を
あえて泉涌寺を先に目指したのは、頭痛封じのお願いのためです。片頭痛持ちにはなんとありがたい!
昔、後白河法皇がひどい頭痛に苦しんでいたところ、枕元に観音様が立ち、頭に光を射して癒してくださったのだとか。
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本堂にはその霊源記の絵巻が残ります。
「頭痛封じ」転じて、知恵を授かったり、学業成就やぼけ封じのお寺としても有名です。
授与所では、「枕カバー」を授けていただけます。観音様が枕元に立ってくださるかも?!
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平安時代の多宝塔である「医聖堂」です。「医と宗教がともに手をたずさえて、人類がともに明るく健康に暮らせるような社会が築かれますように」という住職の願いが込められています。
この塔には、医界に貢献した人々が祭られているとのことです。
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泉涌寺 雲龍院 ~庭園と呈茶~
泉涌寺の本堂に向かう門を、ここもあえて通りすぎてみると、雲龍院に続く道が見えます。
歩き始めてからそろそろ1時間近く経ち、お抹茶で一服しようと、門をくぐりました。
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受付をすませると「蓮華の間」に続きます。
案内のある場所に正座してみると、左の窓から、椿、燈籠、紅葉、松が見られます。
眺めているだけでなんだか呼吸が深くなり、落ち着いた心地がします。
床の間には大きく活けられた花と、墨蹟の掛け軸がありました。
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本堂「龍華殿」へと廻ります。
あれ、障子がぴったりと閉じられていて、果たして入ってよいものか立ち往生。でもこれは猿が入り込んでしまうのを防ぐためで、私たち人間は、もちろん中の薬師如来さまを拝むことができます。薄暗いなかでぼんやり浮かび上がるお顔はとてもきれいでした。
お庭もゆっくりと拝見できました。白砂が光ります。
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お茶券を係の方に渡してから「大輪の間」に向かいました。
床の間を拝見して、緋毛氈に座って呈茶を待ちます。
木々がこんもりしたお庭を眺めて過ごす時間も素敵。
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泉涌寺 大門をくぐって降り参道を行く
本坊まで「上がる」参道はよくありますが、「下がる」ことは初めてです。
大きな伽藍を感じつつ、仏殿や本坊を下に見ながら進みます。
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泉涌寺本坊の特別公開
本坊の拝観には別途受付が必要です。
皇族方の拝観があった際に使用される、部屋や勅使門が見学できました。
御座所庭園は遠くを深い山に抱かれていて、自然をそのままに切り取ったかのような景色です。
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泉涌寺から東福寺へ
陵墓のそばの小道を行き、住宅の並びに沿うように、坂道を下ります。
このように小さく見える京都タワーも印象的。
高校の門が右手に見えたら、その角を左に行くと、すぐに東福寺です。
人通りも少なく、なんといっても時間短縮!移動にかかったのはおよそ10分。
住宅街を抜けて行くので、ご迷惑にならないようおしゃべりの声には気をつけたほうがよさそうです。
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東福寺到着!
行きかう観光客が徐々に近づき、いよいよ東福寺に入ります。
方丈の東西南北に配された四つの庭は「八相の庭」と呼ばれ、お釈迦さまの「八相成道」に因んで名づけられました。
重森三玲の手により、「永遠のモダン」をねらった斬新なデザイン、昭和14年から現在に至ります。
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東福寺 芬陀院
京阪東福寺駅へ戻る途中も、見どころがたくさんあります。その一つが芬陀院。
「雪舟庭園」の寺として知られています。水墨画の雪舟ですが、なんとここでは石で枯山水を描いたのだとか。
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「鶴亀の庭」と呼ばれる南庭は、禅院式枯山水。京都で最古の枯山水庭園の一つです。
東福寺方丈庭園と同じ昭和14年、重森三玲によって復元されました。
折鶴と亀が、石で形作られています。
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芬陀院の茶室「図南亭」です。躙口のない貴人好みのこの茶室は、茶の湯好きには大いに興味を引きます。
茶の湯を愛好した関白、一条恵観公の三百年法要で復元されたことから「恵観堂」とも呼ばれます。
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