
京都dddギャラリー第229回企画展 小島武展 夢ひとつ
2009年に亡くなった不世出のイラストレーター小島武はたくさんの作品を残しました。「ぼくはね、今でも筋金入りのシクスティーズ・チルドレンを自称しているんですよ」(2002年5月号『レコード・コレクターズ』インタビューより)の言葉どおり、小島武は、まさしく1960年代の申し子でした。60年代カウンターカルチャーの発信地「アートシアター新宿文化」の上映・公演ポスターを22歳でてがけたのをかわきりに、その後「六文銭」の小室等や井上陽水らとレコードレーベル「フォーライフ」の発足に参画するなど、ミュージシャンたちとの関わりも深かったのです。
平野甲賀氏曰く、今回、彼が残した膨大な作品を整理するなかで、とくに気がついたことは、漫画のタッチの新鮮さ。描き文字のすばらしさでした。小島武に言わせれば「ボクの描くものはすべてイラストレーションだ」ということになるのだが。
本展ではスライド、ライトテーブルで作品を映像としてもご覧いただきたいと考えています。ひとつのモチーフをなんども描いて別の背景と組み合わせていく―という独特の手法や、鉛筆画をなんども描き分け、コピーを重ねながら墨色を色濃くしていく、或いは描いたイラストを切り分け、別の絵の上にコラージュを重ねていく―といった創作過程についてもご覧いただきます。
小島武プロフィール
1940年満州生まれ。北九州に引き上げ後は、高校まで博多で暮らす。映画三昧の日々であった。上京後、桑沢デザイン研究所に通う。音楽、演劇、広告、出版と多彩にイラストレ-ションとグラフィックで関わる。62年からフリーのイラストレーターとして活躍し、93年には第24回講談社出版文化賞(さしえ賞)を受賞。主な仕事に、アートシアター新宿文化/小室等/井上陽水/高田渡/『Number』表紙/『話の特集』/『ニューミュージック・マガジン』/『小説新潮』/など多数。
メッセージ
小島武の絵が好きになったということは、小島武の線が好きになったということと同義だった。なぜ小島武の描く線が好きになったのか。理由はひとつ。それが私に異邦を夢見させてくれるようだったからだ。その線が孕んでいる空気は、この日本のものではなかった。 (沢木耕太郎/作家)
小島武氏と初めて会ったのは、かれが所属していた、いまは、伝説となった原宿セントラルアパートにあったデルタモンドという広告代理店からファッションショーのBGMを頼まれたのが最初でした。1960年代なかばだったか。それ以来、かれの会社にいりびたり、長時間デザインルームで世界のカルチャーの動きを見ることになった。その後、小島氏には10数枚のアルバムのデザインをしてもらうことになったのだが、最初の一枚がPP&Mフォロワーズだった。(小室等/ミュージシャン)
70年代のほとんどはぼくの仕事場は原宿のセントラルアパートにあった。小島の仕事場もすぐ近くだったので、よく行き来したものだ。ある日、依頼した仕事具合を見にいくと、その頃アングラ最盛期で、どこもB全のおおきな紙に刷り出したものだが、小島への依頼は、そんな大きなものを頼んではいなかった。だのにやつはB全に試作を描いて、さぁどうだ、と言わんばかりに拡げてみせる。ちょっと困った顔をぼくがしたのだろう、目の前でその紙をビリビリと破いてニヤリ。ヘンなやつだった。 (平野甲賀/装丁家)
■主催 公益財団法人DNP文化振興財団
■タイトルロゴ 平野甲賀
■企画・監修 平野甲賀、平野公子
■告知物、展示デザイン 古本実加、吉良幸子
- 京都dddギャラリー
- 日程・時間
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2021年 7月 24日 (土) ~ 9月 25日 (土)11:00~19:00日・月・祝日休館 ※9/19(日)は特別開館
※土曜・9/19日)は18:00まで - 料金
- 無料
- 会場・開催場所
- 京都dddギャラリー
- 公式webサイト・ページ
- https://www.dnpfcp.jp/CGI/gallery/schedule/detail.cgi?l=1&t=2&seq=00000775
- お問い合わせ
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- ■ 地下鉄東西線 太秦天神川駅1番出口 徒歩3分
■ 嵐電嵐山本線 嵐電天神川駅
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- 車椅子用スロープ・多目的トイレ有り
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