京の冬の旅 非公開文化財特別公開 ~霊源院・六道珍皇寺~

霊源院

建仁寺の塔頭・霊源院は応永年間(1394~1428年)に龍山徳見を勧請開山として、
その弟子・一庵一麟が創建しました。
鎌倉末期から室町時代にかけて、禅宗寺院で栄えた漢文学「五山文学」の最高峰の寺院のひとつで
多くの学僧を輩出しました。
幼年の一休宗純も霊源院で学んだといわれています。

見どころ

五山文学を代表する高僧の木像「中巌円月坐像」は南北朝時代を代表する肖像彫刻の傑作で
京都国立博物館に預けられていましたが、約70年ぶりに霊源院に戻され、今回の冬の旅で公開されています。
平成8年の修理の際には胎内から毘沙門天立像が発見されており、それも同時に展示されています。
他にも、室町幕府7代将軍足利義勝が10歳の時に描いた水墨画「達磨図」や、
霊源院の再興に尽力した柳澤元政夫妻像などが公開されています。
方丈内には「也足軒」と「妙喜庵」の2つの茶室があります。

レポート

受付を済ませて中へ入ると左手に御本尊の薬師如来が祀られていて、
その前に「中巌円月坐像」が安置されていました。
像は等身大で玉眼が入れられたその表情は迫力があり、厳しいようにも柔和にも見えます。
厳しくて優しい方だったのかもしれません。
その横には胎内仏の毘沙門天立像があり、掲げた左手の水晶の中には
伝教大師最澄が持ち帰ったといわれる仏舎利が入っています。
鎌倉時代の慶派仏師が手掛けたもので、細かい部分までとても精巧に作られています。
胎内に納められていたためか保存状態が良く、とても鎌倉時代に作られたとは思えません。
その脇には現代の琳派と称される木村英輝さんの毘沙門天立像の金屏風、
金澤翔子さんによる毘沙門天の大字の屏風が飾ってありました。
期間中は茶室「也足軒」でご住職による呈茶が行われているようですが、
この日はご不在でお茶をいただくことはできませんでした。
也足軒はにじり口が外にあるのではなく室内にあり、非常に珍しい造りになっています。
一方、「妙喜庵」は壁に花頭窓が作られていて、こちらも珍しい茶室です。
庭園の甘露庭はガクアジサイによく似たアマチャが植えられています。
アマチャが開花する6月頃に霊源院が公開されていたらまた訪れてみたいです。

六道珍皇寺

平安前期の延暦年間(782~805年)の創建で、
開基は弘法大師の師にあたる慶俊僧都といわれていますが諸説あります。
元は真言宗の寺院で東寺に属していましたが戦乱にまきこまれて荒廃したため、
1364年に建仁寺の聞渓良聴によって再興・開宗されました。
本尊は薬師如来坐像で重要文化財に指定され、境内の薬師堂に安置されています。
平安時代の官僚・小野篁は、昼間は朝廷に出仕し夜は閻魔大王に仕えていたという伝説があり、
境内にある井戸から冥界へ通ったといわれています。
また、お盆の精霊迎えに参詣するお寺としても知られています。

見どころ

ご本尊である薬師如来坐像や閻魔大王像、小野篁像などが特別公開されています。
また、熊野観心十界図という地獄絵、10世紀頃に作成されたといわれる毘沙門天像なども展示されています。
境内の奥の庭園では、小野篁が冥界の行き来に使ったといわれる「冥土通いの井戸」や、
「黄泉返りの井戸」を見ることができます。

レポート

山門の脇には六道の辻と書かれた石碑があります。
この地は平安京の外に位置し、東山の埋葬地・鳥辺野への道筋であったため、
現世と冥界の境目と考えられていました。
本堂には京仏師中西祥雲作の薬師三尊像が安置されています。
本堂内の欄間はたくさんの地蔵菩薩が彫られた地蔵欄間で、浄土を表現しているそうです。
また、桃山時代の参詣の様子を描いた曼荼羅図が展示されていて、
それを見ながらお寺の歴史や解説を聞くことができました。
熊野観心十界図では仏教の六道がわかりやすく描かれており、
当時の人々もこの図を見ながらお坊様から説法を受けたのかもしれません。
本堂から庭園へ向かうと、小野篁が使っていたという冥土通いの井戸と黄泉返りの井戸がありました。
冥土通いの井戸の中は葉が茂っていてわかりにくいのですが、とても深いとのこと。
黄泉がえりの井戸は最近になって民有地から発見されたそうです。
閻魔堂は普段は格子があるのですが、期間中は外されていて
閻魔大王像と小野篁像を直接拝観することができました。
薬師堂では普段は非公開の薬師如来像も拝むことができます。
如来様は閻魔大王とは対照的なとても穏やかなお顔をしていらっしゃいました。

拝観情報

・期間

平成27年3月18日(水)まで

・時間

10:00~16:00(受付終了)

・料金

1か所 600円

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