雨に濡れる庭園で見た夢

1.妙心寺東林院、沙羅双樹

雨に濡れる庭園は格別です。この期間限定の特別拝観寺院を中心に7寺院を。

妙心寺塔頭東林院。樹齢300年といわれる沙羅双樹の銘木があることで知られる。
普段は非公開寺院であるが、沙羅の咲く6月と1月、10月にも特別に公開される日がある。
精進料理でも知られている。すごく混むが、ちゃんと順に名前を呼ばれて抹茶がいただける。

雨音だけが、ぽつりぽつりと、響いてくる
時間が、ふわりふわりと、積もっていく
かなわなかった夢も、ここにある夢のあとも、今あるささやかな夢も
夢はいつもそばにある
夢の途中、まだまだ夢のつづき

2.建仁寺両足院、半夏生

建仁寺塔頭両足院、初夏と秋に特別拝観がある。初夏には半夏生が池辺を飾る。
中に入ってから別途料金で、お庭をまわってお茶室で抹茶がいただける。
半夏生は不思議な植物で、花穂から3枚の葉が白くなるが8月下旬にはまた緑色になるようである。

雨に濡れ、空と繋がる
大きすぎて気づかないくらいの自然のやさしさに包まれて
まだもう少しできる気がする
夢のかけらを、ひろい集めて
もう一度、物語をはじめる

3.東福寺天得院、桔梗

東福寺塔頭天得院。非公開寺院であるが6月から7月の桔梗が咲く時期と11月の紅葉の時期に特別公開される。
杉苔に覆われた庭に咲く紫や白の桔梗はすばらしい。
お昼の精進料理を予約することもできる。

音のない雨に濡れ、静かに見つめる
期待と不安は、いつも不安のほうが少し大きいけれど
明日の自分につなげるために
今日の自分を見つめる
この涙は、夢のはじまり

4.妙心寺大法院、新緑

妙心寺塔頭大法院。非公開寺院であるが春と秋に特別公開される。秋の紅葉はすばらしいが、ものすごく混む。
春は、比較的参拝客も少なく落ち着いて抹茶をいただける。
特に雨に濡れた新緑のお庭をゆったり眺める時間は宝物である。

雨の滴にくるまれて
みどりたちがふくらんでいく
この夢もしぼんだり、ふくらんだり
それでも
どんなときでも、ささやかな夢は持てるんだから

5.建仁寺霊源院、甘茶

建仁寺塔頭霊源院。五山文学の最高峰のひとつである。
非公開寺院であるが、甘露庭に甘茶が咲く6月や秋、冬など季節の折にふれ特別公開される。
ライトアップ、蛍の放生、鈴虫の特別拝観など1年中、見逃せない。
抹茶をいただきながらお住職とお話するのも至福。

青い風が通り過ぎ、青時雨の音が聞こえるとき
ほんのちいさな想いが物語のはじまり
ちいさな想いをたくさん飛ばして、見上げるあなたに舞い降りる
ちいさな想いからはじまる想いのかけはし
人の想いだけが紡ぎだせる奇跡、この世界の中でつながることができる幸運
人を想うことができる幸せ
想ったとき感じたとき、その瞬間から新しい物語がはじまる

6.廬山寺、桔梗

紫式部ゆかりのお寺で、節分行事と桔梗のお寺として知られ普段から拝観できる。
白砂と苔の「源氏の庭」に、夏になると桔梗が咲き誇る。
京都御苑東側にあり、とても静かでゆっくりとお庭を眺めることができる。
6月末から9月の初めころまで桔梗が楽しめる。

知らぬ間に雨が近づき、私の落とした影を消し去っていく
確かに、ここにいるのにって
笑い損ねた顔が、そのまま濡れていく
次に目を開けたとき、もう一人の自分が、きっと生まれる

7.祇王寺、新緑

奥嵯峨にあり「平家物語」悲恋の尼寺として知られる拝観寺院。
紅葉の時期は、行列になるくらい混むが、その時期以外は比較的すいている。
竹と楓に囲まれ杉苔に埋もれた庭はすばらしい。
新緑の時期は、やはり雨上がりの雫をあびながらゆっくり歩いてみるのがいい。

雨上がりの、この世界の中で
あなたと同じときに生きる幸せ
あなたがいるって思うだけで、世界が色づく
追いかけても、追いかけても、追いつけない
遠い遠い夢だけど

京都貴船 川床料理 べにや