桜の精
花開く直前の桜の枝をもらってきて、色を染めたら、不思議な、においたつように美しい桜色に染まった、と志村ふくみさんが書いていました。
けれども、花が咲いてしまった後の枝では、同じ桜色が出なくて、その時、桜は花開く時に向けて、幹も枝もすべて全身で準備していたのだ、あの時の桜色は桜の精だったのだ、と気づいたのだとありました。
桜の中を歩いていても時々、桜の精を感じる瞬間があります。
たとえば、日が沈んで空が一面の夕闇色に染まる直前に、桜の森を見上げた時に、ふとした気配を感じることがあります。
陽の光の下では華やかな桜の花も、夕闇の中に浮かび上がっていく桜の樹を見上げると、むしろ幽玄で、気高い、何かこの世のものでないような存在を感じてしまったような気がして、どきっとします。不思議な薄明の光の中で花びらがいっせいに舞い散ると、枝も葉も、落ちてしまった花びらの一つ一つも、一つの樹ごと、空に向かって徐々に浮かびあがっていくような思いにとらわれます。
撮影場所
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