処刑された二人の僧を供養する寺「安楽寺」

松虫と鈴虫の二人の女官を出家させた安楽と住蓮

東山三十六峰の一つ善気山麓にある住蓮山安楽寺は、浄土宗の開祖である法然上人の二人の弟子「安楽」と「住蓮」の供養のために建てられた寺院といわれています。

鎌倉時代の初め、法然上人に帰依した安楽と住蓮は、現在の安楽寺のある地より1㎞ほど東の東山山中に念仏道場(鹿ヶ谷草庵)を建て、昼も夜も美しい声で念仏唱和していたそうです。

この二人の美しい声明に魅せられて草庵に通っていたのが、後鳥羽上皇の寵愛を受けていた松虫と鈴虫という才色兼備の姉妹の女官です。

1206年、後鳥羽上皇が熊野詣の留守の折に、この二人の姉妹は御所を密かに出て、安楽と住蓮の導きにより剃髪出家しました。

このことが上皇の逆鱗に触れ、後の「承元の法難」といわれる宗教弾圧事件に発展したといわれています。

この時二人の姉妹を出家させた安楽は近江馬淵庄で、住蓮は六条河原で斬首されたそうです。

京の都では平安時代末まで死刑はほとんどなされていなかったそうで、僧職にある者の死刑は、安楽と住蓮が初めてだそうです。

安楽と住蓮の二人の僧を処刑した後鳥羽上皇は、その後、承久の乱によって隠岐に流され配所で崩御されました。

安楽寺の本堂には江戸時代に作られた住蓮と安楽、松虫と鈴虫の坐像が安置されています。

悲しい歴史を持つ安楽寺の庭は四季折々異なる風景を見せてくれます。

安楽寺が公開されているのは春と秋の特別公開日だけとなっています。

拝観を希望される方は同寺の公式ウエブサイトをご確認ください。

アクセス

JR京都駅からは市バス5系統に乗って「真如堂前」で降りると東に歩いて約10分、哲学の道より一本山際(東側)の通称「隠れ道」という道に面した石段の上に三門が見えます。

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