見ざる・言わざる・聞かざる「八坂庚申堂」

庚申信仰 大黒山金剛寺

大勢の観光客が訪れる京都東山産寧坂、二年坂を右に見ながら八坂の塔の先へと下りていくと平安時代の僧・浄蔵貴所によって創建された天台宗の寺院・大黒山金剛寺があります。

飛鳥時代にこの地の豪族であった秦氏の守り本尊・青面金剛(しょうめんこんごう)を安置する大黒山金剛寺は、八坂庚申堂(やさかこうしんどう)とも呼ばれ、大阪の四天王寺庚申堂、東京の入谷庚申堂(現在は廃寺)とともに日本三庚申のひとつといわれています。

庚申とは干支(えと)の庚(かのえ)申(さる)の日を意味し、人間の体の中にいる三尸(さんし)の虫が庚申の夜に、寝ている人の体から這い出し、天帝(閻魔大王)に悪行を告げるといわれています。

悪行を告げられた天帝は、罰としてその人間の寿命を縮めるとされています。

庚申の日に徹夜をして三尸の虫を封じ、夜叉の姿をした青面金剛を拝むようになったのが庚申信仰です。

「見ざる、言わざる、聞かざる」といわれる両手で目、耳、口を隠している三匹の猿の姿は、この庚申信仰ととともに日本に伝わってきたといわれています。

八坂庚申堂の三門の上には、この三猿が並んでいます。

くくり猿

八坂庚申堂で一際目につくのが、境内のいたるところに奉納されているカラフルな色の布地でできた「くくり猿」(一体500円)です。

この手足をくくられて動けない猿の姿は、欲望を持つ人間の姿を猿に喩えたものとされています。

人間は欲望のままに行動する猿とは違っても、願いを叶えようと努力するとき、どうしても欲望のこころが動いてしまうことがあります。

自分自身の欲望のこころをくくりつけ、庚申さん(青面金剛)にうまくコントロールしてもらうために奉納するのが、この「くくり猿」です。

「くくり猿」に願い事を託して欲を一つ我慢することが、願いを叶える秘訣だそうです。

アクセス

JR京都駅からは市バス202、206、207系統に乗って「清水道」を降り北側の八坂通りを東に歩くと7分ほどで三門と石碑が見えてきます。

京阪電鉄の「清水五条駅」からは東に歩いて20分程度かかります。

なお、八坂庚申堂には駐車場がありませんので、清水寺周辺の有料駐車場をご利用ください。

毎年八月のお盆休みと春と秋のお彼岸には周辺の道路が大渋滞しますので、この期間にお車で参拝される方はご注意ください。

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