しづ心なく…
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紅葉の時期に嵐山に行くと、楓のきらびやかな色彩を求めてつい上ばかりを見上げがちなのですが、ふと視線を落としてみると、思わぬ美しい光景に出会えることがあります。 特に天龍寺のふんわりとした苔の上にはらはらと舞い落ちる山茶花の花びらは、とてもはかなげで可憐で、思わず紅葉を忘れてそればかりを追いかけてしまいます。 午後の落ち着いた光に照らされた苔のやわらかな草柳色の上に、あざやかな桃染色の山茶花の花弁が降りかかって、まるで秋の午睡のひとときのためにふんわりとしたふとんをかけているようでした。
- 天龍寺
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