京の霜月(11月)。
城南宮では曲水の宴が行われ、秋が深まると京都の各所が真っ赤に染まり、貴船ではもみじ灯篭が行われます。
しかし、秋の京都は紅葉だけではありません。
銀杏や、嵯峨菊、山茶花、石蕗、不断桜など色とりどりの草花が京都の町を彩ります。
紅や黄に色づいた木々と、歴史ある神社仏閣が織りなすしっとりした京都の秋景色を心ゆくまでお楽しみください。
【紹介した植物】
イチョウ・サガギク・サザンカ・ツワブキ・モミジ・不断桜
■銀杏(イチョウ)
秋の空を黄金色に彩るイチョウ。
樹齢が長いため、京都をはじめ日本中の神社で樹齢数百年のご神木として大切にされています。鳥居や社殿と鮮やかな黄色に染まったイチョウの黄葉は本当に絵になります。
京都市北区の山間部にひっそりとたたずむ岩戸落葉神社、
迫力ある逆さ銀杏が有名な西本願寺や、赤い紅葉と黄色の銀杏のコントラストが美しい南禅寺などがおすすめです。
岩戸落葉神社
御所
西本願寺
嵯峨菊(サガギク)
日本三大名菊のひとつである「嵯峨菊」。
江戸時代に大覚寺で品種改良が進められた古典菊の一種で、優雅で繊細なのが特徴です。花は下部に七輪、中程に五輪、先端に三輪で「七五三作り」といって、いけばな嵯峨御流の基本とされています。かつては「門外不出」としていた大覚寺では、毎年11/1~30に催される「嵯峨菊展」が秋の風物詩です。
山茶花(サザンカ)
山茶花は晩秋から初冬に咲くツバキ科の植物で、椿とよく似た花です。ただ椿は花首から花全体が落ち、山茶花は花びらがばらばらに散り落ちるのが特徴です。
扱いやすく花も美しいため生垣向きの花とされており、寺社や公園で白、赤、ピンクの花が秋の彩りを豊かにしてくれます。
三千院、等持院、神泉苑などで多く見ることができます。
石蕗(ツワブキ)
晩秋から初冬にかけて、菊に似た鮮やかな黄色の花を咲かせる石蕗(つわぶき)。日陰でもよく育ち、冬でも緑の葉が茂ることから多くの庭園で植えられています。
天台宗の蓮華寺では、門前や池泉式庭園の池畔などに可憐に咲き、京都の南部にある城南宮では、平安王朝時代を偲ばせる「曲水の宴」の頃に石蕗の黄色い花が舞いや歌遊びに彩りを添えます。
紅葉(モミジ)
秋の深まりとともに緋色に色づく京都は、至るところで美しい紅葉と出会うことができます。
東山、西山の山沿いの社寺や山里の風景が残る大原エリアなど、数えきれない程の紅葉スポットがあり、とくに寺社仏閣とのコラボレーションはこの時期にしか見られない素晴らしさです。
北野天満宮
不断桜(フダンザクラ)
桜といえば春ですが、秋から冬に咲く桜があることをご存知でしょうか。
秋冬咲きの桜の不断桜と言えば、大原の実光院が有名で、秋には桜と紅葉の競演が見られることができます。数ある寒咲きの桜の中でも特に花付きが良く、控え目で清楚な印象の素敵な桜です。
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