晩秋のいろ

下鴨神社の楓はわたしにとって、いつも特別で、大切な存在である気がします。 12月の半ばになってもまだ残っている、紅葉のおそい有名な場所でもあるからなのですが、糺の森に生える楓は、どの樹も楢の小川の水の恵みを受けてみずみずしく、潤いに満ちているように思えるからです。 もしかしたら、東殿のご祭神、玉依媛命が水を司る女神だということにも関係があるのかもしれません。 あまり光の射さない森の中、冬の冷たい風にさらされていても、奇跡のように美しい葉を保ち続け、色とりどりの色に染められた葉をそっと差し出している姿を見ていると思わずためいきが出ます。 もみじは、古代では黄葉と書きますが、きっと、この森にある楓は、昔ながらの、黄色い葉のものが多いからなのだと思います。 そして変化がおだやかで、ゆっくりと緑から黄色、そしてあかね色へと変わっていくために、一つの葉の中にさえ、緑、黄色、オレンジ、紅、そして補色が交わり合ったところに生まれる紫と、さまざまな彩りが浮かび上がってくるのかもしれません。 そんな楓の姿を目にして、いつも思い出す詩があります。 「人工と自然が、きみの魅力を とりどりの色に変えるけれど、ぼくの中では 海が青なのとおなじで、きみに そぐわせる想いの色はただひとつ、紅。」(「薔薇によせるバリエーション」ウンベルト・サーバ) 自然の中でも、季節の推移や時間の経過によってさまざまに色は変わっていきますが、もしかしたらその植物の本質的に持っている、あるいは目指している、ただ一つの色というものがあるのかもしれません。
- 下鴨神社
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