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建仁寺と『茶会の源流 - 四頭式茶礼の世界 - 展』

投稿日 2014/11/13

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栄西、建仁寺の歴史的意義

「栄西」は、平安末の院政貴族政治・末法風潮から我が国初の武家政治・鎌倉初期まで、動乱の時に生きた。
桓武平安京は体制宗教としての天台・真言密教から始まり、そして平安中期から鎌倉時代へ、空也や源信と藤原道長、法然の浄土信仰「仏による他力本願」が説かれてくる。
その中、南宋より戻った栄西は、1198年 「興禅護国論」を著し、「禅修業による自力本願」を説いた。戒律清浄にして根本尊重、「不立文字・教外別伝・直指人心・見性成仏」、禅による護国を提唱。鎌倉幕府の庇護を得て、1202年、天台・真言・禅兼学として、ここ「建仁寺」を開山した。 政治宗教的に「和合の精神」で、我が国に「禅」を発祥させた人が栄西禅師である。 「国譲神話」や「神仏習合」、のちの「茶道」に代表される日本・京都文化真髄の心である。
「建仁寺」は、京都において、平安仏教から鎌倉仏教変遷を象徴する存在なのです。臨西禅の専門道場となったのは1265年、 幕府が南宋より招いた「蘭渓道隆」によるもので、「禅」は鎌倉から安土桃山時代へと、武家の主役となっていく。
(題字写真は、栄西禅師を祀る「開山堂」 建仁寺の聖域)
本編取材・撮影協力:建仁寺浅野様、中川ともみ様、京都デザイン認定フォトグラファ wisteria 様

四頭式茶礼 と 茶文化

ロールケーキ、チョコ、アイス・・・など京都発で世界で人気となった、日本の抹茶ルーツは、建仁寺。
「茶」は、中国から遣唐使により伝来、嵯峨天皇と最澄、空海の茶飲の記事が残り、栽培は永忠が起源、当初は餅状で食したとされる。
栄西による茶種伝来、高山寺の明恵に分けられ本格的な栽培が開始された(栂尾茶のち本茶と呼ばれる)。近衛家の祖基実の子、基道 (もとみち)が明恵に帰依、高山寺を氏寺としたが、その関係で近衛家所領の宇治でも茶が栽培された。栄西は我が国で初めて抹茶の製法や喫茶の効用を「喫茶養生記」で残した。
さて、「四頭式茶礼」の文献初見は、南北朝から室町初期、1368年(貞治6年)頃までを記録した軍記物「太平記」であり、武将佐々木道誉の茶寄合での風景が記されている。その名称は4人の正客に由来し、回り敷きの畳で一席合計、36人が拝服した。 中国伝来の儀礼、唐物の掛け軸、天目茶碗など用い、禅院で行われた茶礼の古態を残す。
一方、中国では、抹茶から煎茶に移行するが、日本の抹茶は「覆い下栽培」の開発、石臼、茶筅など改良し進化。 室町後期の応仁の乱から戦国時代へ、争乱と対称して、村田珠光「草庵の茶」から千利休の「わびの茶道」へと精神文化に進化した。 その原点は、栄西の建仁寺 「四頭式茶礼」にある。(毎年 4月20日行事) 
今年は栄西禅師の八百年大遠諱の年、その記念事業として、主に江戸中期から伝わり「四頭式茶礼」で実際に用いられる茶道具などが特別公開。小書院で美しい潮音庭を眺めながら、油滴天目茶碗による呈茶を楽しめた。
(下の写真は、展示会で公開されていた「四頭式茶礼」の写真)
茶会の源流 - 四頭式茶礼の世界展(建仁寺)』10/30~11/13

潮音庭 と 茶席

高台寺、園徳院、そして建仁寺の庭も、京都作庭家「北山造園」北山安夫氏 により、修復・監修され、守られている。
( 撮影協力:建仁寺 浅野様、中川ともみ様 )

仏教空間として

今日、臨済宗では「釈迦如来」を本尊とし、所拠経典は定めていない。
しかしながら、大乗仏教を代表する経典は、中国唐代の訳経僧 三蔵法師玄奘の「般若波羅密多心経」一般的に「般若心経」であろう。現代社会にも通ずる執着を諌める教え、「空」の思想が要約されている。
建仁寺「禅」の空間で「般若心経」写経する若者たちがいた。
(撮影協力:中川ともみ様、京都デザイン認定フォトグラファ wisteria 様)

日本美術史 と 建仁寺絵画

安土桃山から江戸初期の寛永年間は日本美術史上、大きな意義がある。古代、平安から室町の王朝・仏教芸術であった障壁や絵巻物の大和絵、頂相、文人画の禅様水墨画から、江戸の浮世絵に至る過程にあたる。復興新興が重層最盛し、のちに伊藤若冲ら京都町衆たちによって、日本画など芸術が大衆化していく創成期である。
洛中洛外図・花鳥画の代表である狩野派や新興の長谷川等伯、大和絵古参で源氏物語絵画の土佐派、そして、鷹峰芸術村創設年から数え、2015年に400年となる本阿弥光悦らの琳派。いずれもこの時代、同じ時、京都に生きた。
武家から転身し狩野派に学んだ「海北友松」、そして出没正体不明で琳派草創、光悦の片腕「俵屋宗達」。 かれらが生きた証が、ここ建仁寺に伝えられている。
当方レポート『ボストン美術館 華麗なるジャポニズム展』解説と連動・ご参照
( 撮影協力:中川ともみ様 )

茶の文化をご自宅に・・・茶葉や桑葉、金箔入りの「おめでたい」お茶を おみやげに

建仁寺 祇園界隈 

町屋カフェ&バー祇園 日(NITI)
「永谷宗園の玉露」など本格茶や、「焼きおこわの茶碗蒸し」「祇園そうめん」など、落ち着いた店内から坪庭を眺めながらいただける。人気につきお食事・休日はお早めに
壁面照明インテリアは、和紙インテリア作家・堀江エリ子さんの作品です。
http://www.gion-niti.com/shopinfo/index.html

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