特別展探訪「茶会の源流―四頭式茶礼の世界―展」建仁寺 ~平成26年11月13日 メインイメージ

特別展探訪「茶会の源流―四頭式茶礼の世界―展」建仁寺 ~平成26年11月13日

投稿日 2014/11/02

「茶祖」栄西禅師と四頭茶会

建仁寺四頭茶会は毎年4月20日、栄西禅師の降誕会に引き続いて行われている茶礼です。京都市の無形民俗文化財に指定されています。
栄西はいわゆる「茶祖」として知られていますが、むしろその功績は『喫茶養生記』を記し、その後日本に喫茶が普及する下地を作ったことだとする考えもあります。
中国の禅宗寺院の厳粛な日常規則「清規(しんぎ)」が日本に紹介されたのは、栄西ではなく、のちの日中の禅僧の往来によるものだそうですが、それには喫茶儀礼も多く含まれていたそうです。なかには修行の眠気を払う効能まで!厳粛ですがちょっと親しみも感じます。当時の「喫茶」はあくまでも禅院での生活規範の一つでした。

四頭茶会・・・四人の正客と八人の相伴客

かしらとは、つまり人の頭数です。建仁寺では日常的に茶礼は行われていますが、この四頭茶会はやはり特別。一席に正客が四人。それぞれが二人の相伴客とともに、長方形の四つ角をとるように相対して席に着きます。
供給僧は定められた作法に則って給仕しますが、今回の展示ではその様子がパネル写真でうかがえるほか、特別なお道具を間近にすることができます。

展示部屋の床の間。実際の四頭茶会では、方丈の正面中央に栄西の像が、そしその両脇に龍と虎の図が掛けられ、唐物の卓に香炉・花瓶・燭台が置かれます。

記念菓子「風雷」

展示期間中、一日50席限定の特別呈茶があります。この展示のために特別に作られたという、お菓子「風雷」。そして実際の四頭茶会で使用される湯滴天目茶碗。朝顔形の漆黒にかすかに星がきらきら光るようにも見え、少しぶ厚い手触りも印象的でした。

拝服席の床の間です。一文字一文字、ぴしりぴしりと決められたような筆遣い。
お茶は「一服」「二服」と数えるように、やはり「薬」なのですね。

浄瓶と天目茶碗

細いくびれにどっしりしたお尻、細い注ぎ口の先には、なんと茶筅がはめられています。四人の法衣をつけた供給僧は、左手に浄瓶を持ち、右手でその茶筅を押さえて入室します。ちなみに抹茶は天目にあらかじめ入れて配られているのだとか。そして四頭には片膝をついて低頭したまま、相伴客には中腰のままで、客が捧げ持っている茶碗に茶を点てるのですが・・・、
「右手は茶筅の柄を瓶の下のほうに立て直して支えながら、左手で瓶を傾けて湯を注ぐ。その後、瓶は右側の外側に持っていき、右手の茶筅で茶を点てる。茶を点て終わると、また茶筅は瓶の嘴に差」すのだそうです。うーん、想像しただけでも足腰が辛そう。
そして客も、全員分が点てられるまで待ち、茶碗を持って一礼したのちに同時に喫するそうです。
茶席ではいろいろな作法がありますが、呼吸を合わせて各自がそれらをうまくリンクさせることができたとき、一座が一つとなって本当に美しいという話を伺ったことがあります。四頭茶礼はあくまで仏教儀礼ですが、実際に目にできたなら、きっと「美しい」と感じるはず。
※建仁寺四頭茶会は一般にも公開されます。本席のほか点心席など4つ。券は売切必至だそうです。

格式高く、かつオープン!京都最古の禅寺

京都五山の第三位である建仁寺。
舞妓さん芸奴さんの行き交う祇園からすぐで交通の便もよく、なんといっても思う存分写真が撮られるとあって、とくに外国人観光客が多い名所の一つです。
かの有名な宗達「風神雷神図」、法堂の天井画「双龍図」、そして茶室「東陽坊」も。
この日も金髪の青い目の男の子が「ワーォ!」。目を輝かせつつデジカメを手にパタパタと駆けていました。

期間:~平成26年11月13日
時間:午前10時~午後4時(特別呈茶は午後1時~4時)閉門は午後4時半
拝観料:一般500円。特別呈茶は一客700円。

※四頭茶会についての参考文献
西部文浄『禅と茶』淡交社 昭和47年
福井昌之「京都の無形民俗文化財としての建仁寺四頭茶礼」
(大阪観光大学観光学研究所報『観光&ツーリズム』第17号)
角川茶道大辞典本編 角川文庫

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