京の花暦

京の花暦

KYOTOdesign花暦見ごろ表

  • 前月
  • 初旬
  • 中旬
  • 下旬
  • 翌月
  • アジサイ
  • アヤメ
  • カキツバタ
  • キキョウ
  • サツキ
  • サラソウジュ
  • スイレン
  • ハナショウブ
  • ハンゲショウ

6月の花

紫陽花(アジサイ)

6月初旬~7月中旬

6月ごろから開花する日本原産の花です。漢字表記の「紫陽花」は白居易が別の花につけた名前とも言われています。アジサイの見どころは大きく発達した花弁で、梅雨の雫が滴る様は初夏の風情を感じます。6月の6のつく日に、アジサイを逆さに吊るすと厄除けになるとも言われています。(文・中原流花)

主な名所

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紫陽花(アジサイ)に関する和歌

  • 言問はぬ木すらあぢさゐ諸弟(もろと)らが練りのむらとにあざむかれけり

    大伴家持

  • あぢさゐの八重咲くごとく弥(や)つ代にをいませ我が背子見つつ偲はむ

    橘諸兄

  • 夏もなほ心はつきぬあぢさゐのよひらの露に月もすみけり

    藤原俊成

  • あぢさゐの下葉にすだく蛍をば四ひらの数の添ふかとぞ見る

    藤原定家

菖蒲(アヤメ)

5月下旬~6月中旬

ハナショウブや カキツバタとよく似ていますが、湿地ではなく乾いたところに咲きます。花は赤紫色で、「文目(あやめ)模様」と呼ばれるように、花びらの根元に黄色がかった模様があるのも特徴です。葉は香気が強く、昔から邪気を払うものとされ、五月五日の節句に、軒や車にさしたり、身に着けたりしたそうです。(文・よしかわまり)

主な名所

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菖蒲(アヤメ)に関する和歌

  • 五月雨の 空なつかしきたもとかな 軒のあやめの 香るしづくに

    慈円

  • ほととぎす 鳴くや五月のあやめぐさ あやめも知らぬ 恋もするかな

    よみ人知らず

杜若(カキツバタ)

5月初旬~6月初旬

鮮やかな青紫色は、昔は布を染めるのに使われたそうです。「書き付け花」が転じて、「かきつばた」とよばれるように。また、襲(かさね)の色目の呼び名でもあります。表は二藍(ふたあい)、裏は萌葱(もえぎ)の組み合わせは、いかにもカキツバタらしさが感じられます。『伊勢物語』の在原業平が詠んだ「からころも」の歌は有名ですが、『万葉集』にも大伴家持の カキツバタにちなんだ歌があります。「かきつばた 衣に摺り付け 大夫(ますらを)の 着襲(きそ)ひ猟(かり)する 月は来にけり」男性陣がカキツバタ色に染めた衣を来て、薬猟をする姿は、きっと美しかったことでしょう。(文・よしかわまり)

主な名所

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杜若(カキツバタ)に関する和歌

  • かきつばた 衣に摺り付け 大夫の 着襲ひ猟する 月は来にけり

    大伴家持

桔梗(キキョウ)

6月初旬~10月下旬

五角形の愛らしい星型の花びらは、戦国武将明智光秀の紋としてよく知られています。また、安倍晴明が用いた五芒星が桔梗印と呼ばれていたことで、いまの晴明神社では神紋となっているそうです。実は自生株は絶滅が危惧されていますが、東福寺の天得院では、毎年6月から7月にかけ、桔梗が咲き乱れるお庭が見られます。秋の七草でもある桔梗を、静かなお庭でゆっくり拝見できるのは心落ち着きます。(文・よしかわまり)

主な名所

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桔梗(キキョウ)に関する和歌

  • 朝顔は 朝露負ひて 咲くといへど 夕影にこそ 咲きまさりけれ

    作者不詳

皐月(サツキ)

5月初旬~6月下旬

別名サツキツツジ。ツツジの仲間ですが、開花時期は一か月ほど遅れて5月から6月です。旧暦の「皐月」にあたるのでサツキツツジとも呼ばれます。花言葉は「節制」。よく知られる華やかな色形とは少し違ったイメージですが、これは本来、厳しい山肌を好んで自生するからだとか。市内でよく目にするものは園芸品で、「サ ツキ」とひとつとっても品種はさまざまだそうです。盆栽などで興味を持たれることも多く、京都のサツキめぐりも一興です。(文・よしかわまり)

主な名所

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皐月(サツキ)に関する和歌

  • 水伝ふ 磯の浦廻の 石上つつじ 茂く咲く道を またも見むかも

    よみ人知らず

沙羅双樹(サラソウジュ)

6月初旬~7月初旬

『平家物語』の「盛者必衰」の象徴の一つとして、一度は耳にしたことがあるサラソウジュ。この木は場合によっては30mほどにもなるほどどで、とても大きく、葉が茂った中に小さな白い花々が存在感を放ちます。仏教の教えを伝えるものとして、寺院でよく見られます。建仁寺塔頭の霊源院では、特別拝観期間において、色とりどりの甘茶の花が咲くのと同時に、このサラソウジュも愛でることができます。(文・よしかわまり)

主な名所

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沙羅双樹(サラソウジュ)に関する和歌

  • 沙羅双樹 しろき花ちる 夕風に 人の子おもふ 凡下のこころ

    与謝野晶子

睡蓮(スイレン)

5月中旬~7月下旬

スイレンは水生植物で、日本では白いヒツジグサのみが自生しています。睡蓮という漢名は、このヒツジグサのことを指しています。これを改良したものをヒメスイセンといい、寒さにも強いので観賞用として育てるのも難しくはありません。花言葉は「純粋」と「潔白」で、上品な様子にぴったりです。(文・中原流花)

主な名所

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睡蓮(スイレン)に関する和歌

  • 睡蓮の 花さく水に ゐる魚の 緋のかげは 追憶に似てひらめけり

    上田三四二

花菖蒲(ハナショウブ)

5月下旬~6月下旬

赤紫の細い花びらに黄色のすじが入っているものがよく知られていますが、花の色や模様はさまざまにあります。江戸時代に栽培が全国的に広まり、いまでも多くのハナショウブの名所は数々。京都では平安神宮、梅宮大社、法金剛院などで見られます。(文・よしかわまり)

主な名所

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花菖蒲(ハナショウブ)に関する和歌

  • 五月雨に 浅沢沼の 花かつみ かつ見るままに 隠れゆくかな

    藤原顕仲

半夏生(ハンゲショウ)

6月初旬~7月初旬

「半化粧」とも書くように、葉が緑と白にちょうど半分くらい色分けされている6月から7月が見ごろの花です。なんといっても建仁寺塔頭両足院の庭園がおすすめ。特別拝観中は、緩急あるお庭を歩きつつ、緑と白のコントラストを間近で楽しめます。茶室で抹茶と菓子をいただきながら、鳥が池で羽を休めたり、トンボが飛び交うゆったりした時間を過ごせます。またこの植物にちなんだ「半夏生」は、雑節のひとつ。夏至から数えてちょうど10日ほど後で、梅雨の末期にあたります。農作業の上で重要なこの日までに、必ず田植えを終えておくことが言い伝えられています。(文・よしかわまり)

主な名所

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半夏生(ハンゲショウ)に関する和歌

  • 葉の白き 半夏生見んと 誘はれて 夏日傾く 古寺へ来ぬ

    島田修二

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